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鈴鹿8耐レポート

8月5日~7日、2022 FIM世界耐久選手権 “コカ·コーラ”鈴鹿8時間耐久ロードレース 第43回大会。

3年ぶりの開催となった、鈴鹿8耐はコロナ禍での開催となり、例年とは大きく規制された大会となりました。
GOSHIが鈴鹿8耐挑戦の目標を掲げて5年、右も左も分からない中、様々な方に助言、ご指導を受けながらここまでたどり着き、初出場にして12位完走という出来過ぎな結果が生まれました。

今大会は、8月1日のピット設営から始まり、2日間の事前テスト走行、そこでまさかの第1ライダー黒木が転倒により右手首を負傷。
その後も申請類のチェックミスなど、スタートギリギリまで予断の許さない状況が続きました。

その課題を一つ一つをクリアし、なんとかスタートラインに立ちましたが、マシンが走り出すまで安心出来ない!
常に次、そしてまた次を考えながらの進めは、とても鈴鹿8耐の雰囲気を味わうなんて気分ではありませんでした。

ピットクルーのほぼ全員が初舞台。緊張しない訳がない。
ただ、コロナの影響で中止になった2年間という準備時間が少しだけ緊張を和らげてくれていた様な気がします。
しかし「ここまでやればもう大丈夫!」といった明確な答えが無いのが、レースであり、鈴鹿8耐なんです。どこのチームも予期せぬ問題を抱えていた様です。

全45チームというエントリー数は、例年より20チーム程度少なく、コロナの影響が大きいことが理解できます。
初の参戦が2つも3つもハードルが上がり失敗が許されない状況だっただけに、今回の結果は、まさに大金星!と心の中でガッツポーズしています。

7日、午前11:30決勝レーススタート。
黒木の負傷で当初予定していた走行順を①田尻⇒②安田⇒③黒木⇒④田尻⇒⑤安田⇒⑥黒木⇒⑦田尻⇒⑧黒木に見直して完走を狙います。

スプリントレースとは違い、ル・マン式スタート。
スタートライダーの田尻は、日章旗の振り上げからマシンに駆け寄り、エンジンスタート!そこから第1コーナーに全車両がなだれ込みます。接触もあり得る第1関門も全車クリア。
しかし、3周目にアクシデント発生。セーフティカーの介入で全車少しのヒートダウン。1時間を冷静な走りで無事に、2番手 安田へ交代。

今シーズン限りで引退を考えていた安田選手も、この8耐挑戦は、意義と意味のある挑戦となったはず。
そして、レース中の2分10秒台のタイムは、まだ現役で行けることの証明であり、潔さである。しっかりと結果に繋がる走りでした。本当にお疲れ様でした。

右手首の負傷を抱える黒木は、3番手として、安田からバトンを受けます。
3番目に走ることで、右手首への負担を少しでも和らげたい思いでしたが、走り出すとそんな感情は通用しません。予選タイムより速い!気持ちが痛みに勝った瞬間でした。

28番手からのスタートから、どんどん順位を上げていきます。
1時間経過17位、2時間/14位、3時間/16位、4時間を過ぎたころには13位という好調ぶり。
しかし、一瞬の気の緩みや油断から状況は一変する耐久レース。気は休まりません。

5時間/12位!もっと行ける!しかし、自力での順位の向上は見込めない状況。
この時点で前車との差は1周の差、ラップタイムも同等レベルで走行中。この位置をキープすることが、この時に出来る最善でした。
ライダーもメカもクルーもそれを認識しているのか、じっとモニターを見つめ声が出ない。

6時間/12位、緊張は続きます。13位のチームとのタイム差は、同周回で1分20秒差。このまま!
7時間/12位!後続に1LAP差となり、このまま行けるか!?そして最後のライダー交代に入る直前、またもやセーフティカーの介入!?

リスクの一つだった“ピット前のセーフティーカー”は、前も後ろも差が詰まるか開くかの2択!しかしもうタンクも空になってしまう。
やむを得ずピットイン!1LAPの差が無くなり逆に30秒の先行をゆるしてしまいました。この時点で残り40分/13位。

12番手を走行するマシンより、ラップタイムは1秒上回っている!“総合12位”も行ける!30秒あった差がどんどん詰まります。ラスト20分で12位へ!

そして午後7:33分、無事に8時間走り切り、12位でチェッカーフラッグを受けることが出来ました。

例年よりトラブルが少なく感じた今回の鈴鹿8耐。
初参戦のGOSHIは、どれだけミスを少なく、完走させれるかが課題でした。
1つのミスが大きな差に繋がり、どれだけライダーが速く走っても、その差を取り戻せないこともあります。

そんな状況で、チーム力が試されるのが耐久レースです。それを全クルーが知っています。
知っているからこそ、緊張も最高潮!1回、1回、一つひとつの作業をミス無く、遅れなく全てをやり切ることが出来ました。

計7回のピット作業時間は、ピットロードの走行時間を含め7分06秒028と全体の6番手タイム。これは大きな成果でした。
タイヤ交換、給油作業の7名は勿論、裏方のサインボード、タイヤ管理、燃費計算、ライダーやクルーのお世話役のヘルパー、14名のクルーが心ひとつになった瞬間でした。

そして現地のスタンドや自宅から、自社チームが懸命に前を追いかける姿と頑張りを応援してくれた全従業員に感謝です。
また、本来業務の忙しい中、各部門から選出されたメンバーがこの活動に参加し、モチベーションを崩さず、役割を全う出来た事。
この裏側には、気持ち良く送り出してくれた各部門の理解と協力があったからこその結果だと、合志技研の将来に新しい光が見えた気がします。

開発マフラーは、大きな仕様変更は無かったものの、中速域の改善を進めていた仕様で、耐久性の確認に集中し、問題ないことを確認出来ました。
また現在、最終仕様と位置付けたエキパイを試作。来シーズンに向け、評価解析を進めています。

下記、ライダーよりコメント。


第1ライダー 黒木 玲徳(くろぎ れいとく)
 チームとして、そして個人としても目標であった鈴鹿8耐出場の夢を、叶えることが出来ました。

この夢の舞台に向けて、今までのレース人生の中で1番トレーニング等に力を入れて臨みました。
しかし、レースウィークの初日に転倒し右手を負傷してしまい、1度は走る事を諦めそうにもなりましたが、チームやスポンサー様に助けていただき、走ることが出来ました。
最終的には、12位完走という最高の形で鈴鹿8耐を終えることが出来ました。

怪我をしなければ。と思う事もありましたが、今回はそれも含めての「最高の形」だったと思います。

応援してくださった皆様、スポンサーの皆様、本当にありがとうございました!


第2ライダー 田尻 悠人(たじり ゆうと)
 まずはGOSHIの8耐挑戦をご支援下さったスポンサー様、応援頂いた皆様、開催にご尽力頂いた大会関係者の皆様に感謝致します。
2年も待った8耐初参戦での12位という順位には本当に驚きもありましたが、これまでの成果が出た結果だとも思います。

チーム員一人ひとりがミスなくコースに送り出してくれたので、安心して自分の仕事を全うすることが出来ました。
GOSHI Racingの強みはそういったところでもあると思います。
来年の8耐もその強みを更に磨き、そして自分自身ももっと強い走りが出来る様、さらに上位を目指し改善に取組みたいと思います。
改めて皆様からの応援ありがとうございました!


第3ライダー 安田 毅史(やすだ たかし)
 レースウィーク初日に黒木君の転倒負傷で3人で決勝を走るのは無理かなと思ってました。なのでもっといろんなコンディションで、そして力を使わないで乗れるよう残り少ない時間でセッティングに心がけましたが、8耐の空気感も手伝ってか、予選では黒木君は勿論、ライダー・クルー全員の気迫で勝ち取ったポジションだど思います。

決勝は、スタート前にバタバタしましたが、田尻君が落ち着いて周回を重ねる感じが印象的でした。
第3セッションの黒木君は、本当に心配でしたが、13秒~12秒と、いいペースで走る姿からは、“ヨシ!繋ぐぞ!”としっかりとパワーを貰いましたよ。
第5セッション自分はいいペースメーカーが居たので、ついて行ったのですが後半は足が攣りまくってペースが落ちてしまい、体のダメージも酷く回復は見込めないと思い、最後は二人に「後はまかせた!」という想いを込め繋ぎました。

メカニックやヘルパーさんにも暑い中、毎セッションでセッティング変更やわがままも聞いて頂きありがとうございます。
転倒負傷が有りましたが、流れの感じは良かったと思います。決勝日の流れが特に良かったです。

熊本から応援に来て頂いた皆様も暑い中、応援ありがとうございました!


最後に、GOSHIをサポート頂いたスポンサー各社様、一緒にマシン造りにご協力頂いた各社様、完走及び12位という大きな成果をご報告出来た事を嬉しく思います。そして多くの皆様の心に何かを残せていたら幸いです。

本当にありがとうございました。
今後ともご理解と応援をよろしくお願いいたします。

記:開発BL

 

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